本と人とライブラリアン

#ブックレビューもどき #人が好きなライブラリアン

ライブラリアンの視点 ―花田菜々子『出会系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(河出書房新社、2018年)

 

 

一気に読んだ。

内容を簡単に説明すると、一行に収まらないこのタイトルが語っている通りなのだけれど、ジャンルは何だろう?

司書として本の内容を数字で分類するのだが、それで行くと本当に913.6(日本の小説―近代)なのか。いや、これはエッセイ(914.6)でしょう!いやいや、自伝でもあるわけだから、916(ルポタージュ;ノンフィクションとざっくりイメージしている)かも?なんて思ったり。

 

離婚を前に、大好きだった仕事に行き詰りを感じていた女性が、新しい世界に無理やり自分を放り込んで、30分会っただけの人の個性を分析し、お勧めの本を紹介する武者修行を敢行。それを繰り返していく中で、自分を見つめ、成長し、新しいステージへとシフトしていく。いわば一人の女性のターニングポイントを垣間見るような実録小説。なにより読み易いのが特徴なので、エッセイ風の作品にも思える。

 

この人は、本が好きというより、本を通して人と繋がったり、人を知ったりすることが本当は好きなんじゃないかな。

本を紹介する武者修行、と言ってはいたが、気付けば本を懐刀に「人が好き」という自分の新しい側面を切り開いていったのではなかろうか。

それと同時に、自分自身とも向き合っていくプロセスが1年を通して語られている。特に、本を紹介する人から逆にコーチングを受けて号泣するシーンは印象的だった。

 

本を媒介に人と関わることを生業とする人。一応、司書をしている身としては、こんなに本が好きで、こんなにも沢山の本を読んでいて、それを飛び道具に人との関わりを築いていける人って、憧れだ。くすぶっている自分に刺激をもらえる一冊となった。

 

この本を企画展示に活かすとしたら、どうするだろう?

「読書の秋」として、本が好きすぎて自分の名前を関した賞を発表する書店員による『本屋の新井』なんかと合わせてみるのもあり。

進路やキャリアに悩む人に向けて、仕事の本など少し毛色が違うものとして混ぜるのもありかも。

個人的には、内面の葛藤とか、いわば「大人の発達」が根底にあるテーマだと思ったので、

心理学系の本にいれられたらいいかな、なんて思う。5月連休明けに対五月病として「自己肯定感」をテーマに展示を企画しようかと考えていたので、そこに入れるのもありだ。

 

以前から書店で何度もお勧めされているのを見てはいたが、もっと早く読めばよかった!

ブックオフに行って、再読用に買おう…!と思える久々の一冊だった。